「水の都」や「北欧のベネチア」と称される美しい街、ストックホルム…そのメーラレン(Mälaren)湖畔に佇む、堂々とした赤レンガ造りの建物をご存知でしょうか。
📌ストックホルム:水上の美しき首都を味わい尽くす!7エリア別完全ガイド【スウェーデン】
それが、ストックホルムのシンボルである「ストックホルム市庁舎(Stockholms stadshus)」です。
建築家ラグナル・エストベリ(Ragnar Östberg)の最高傑作とも言われるこの建築は、ただの行政機関ではなく、一歩足を踏み入れれば、ノーベル賞の晩餐会が繰り広げられる華やかな大ホールや、1800万枚もの金箔モザイクが輝く圧巻の空間が私たちを迎えてくれます。
この記事では、北欧建築伸びが詰まった市庁舎の内部ガイドツアーの見所を徹底解説、さらに、ストックホルムの街を一望できる、夏限定の「市庁舎の塔」への登り方や注意点など、観光に役立つ実践的な情報を紹介したいと思います。

ストックホルム市庁舎:106mの塔から見下ろす水の都
毎年12月10日、世界中が注目する「ノーベル賞」の晩餐会が開催される場所として知られていて、「一生に一度は本物を見てみたい…」と憧れる方も多いのではないでしょうか。
この市庁舎、「青の間なのに青くない部屋」があったり、夏限定で上れるタワーからの景色が絶景過ぎたりと、知れば知るほど面白い見どころが満載なんです。
この記事では、見逃せない4つのハイライトや、予約時の注意点など、写真たっぷりで詳しく紹介するので、これからストックホルム旅行を計画している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ストックホルム市庁舎:基本情報
スウェーデンの首都ストックホルムのシンボルであり、北欧を代表する美しい建築物の一つであるストックホルム市庁舎は、メーラレン湖のほとりに佇む赤レンガ造りの建物で、1923年に完成しました。
毎年12月10日のノーベル賞授賞式のプロセスの後、受賞者やゲストを招いた華やかな晩餐会がこの市庁舎の「青の間」で開催され、その後、出席者たちが移動してダンスを楽しむのが、金箔モザイクで埋め尽くされた「黄金の間」で開催されています。
格式高いノーベル賞の舞台を覗いて見ましょう!
| 公式ガイドツアーでの見学 | 市庁舎の内部は、現役の政治の場でもあるため、基本的には公式のガイドツアー(英語など)に参加することで見学が可能です。 |
| 夏限定のタワー見学 |
5~9月頃の夏季限定で、高さ106mの塔に登ることができます。 塔の頂上からは「水の都」と呼ばれるストックホルムの美しい旧市街(ガムラ・スタン)や水辺のパノラマ絶景が一望できます。 |
中庭や湖に面したエリアは無料で散策することもできます。
もともと市庁舎は旧市街(ガムラ・スタン)にありましたが、19世紀末の急激な人口増加に伴って手狭になり、新築移転が決まりました。
📌ガムラ・スタン:ストックホルム旧市街の迷宮街歩き【スウェーデン】
1902年に建築コンペが行われ、地元スウェーデンの建築家ラグナル・エストベリが選ばれ、1911年から1923年まで、実に12年もの歳月をかけ、約800万個の赤レンガを使って建てられた、当時のスウェーデンの国威をかけた一大プロジェクトでした。
ストックホルムはよく「北欧のベネチア」と称されますが、この市庁舎の設計自体、建築家エストベリがベネチア(イタリア)のサン・マルコ広場にある「ドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)」に強い影響を受けて作ったものです。
メーラレン湖に面して美しいアーチ状の回廊が並ぶ姿は、まさに本家ベネチアの水辺の宮殿をオマージュしています。
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市庁舎の象徴である高さ106mのタワーの最頂部には、スウェーデンの国章である「3つの王冠(トレ・クロノール:Tre Kronor)」が輝いています。
実はこれは、1697年に大火事で焼失してしまった旧王宮(当時、てっぺんに3つの王冠がついた尖塔があった)の方向を正確に向いて建てられていて、失われた歴史的シンボルを新しい時代のシンボル(市庁舎)として蘇らせようという、当時の人々の強い思いが込められています。
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約1,800万枚の金箔モザイクで埋め尽くされ、誰もが息を呑む「黄金の間(舞踏会場)」の正面には「メーラレン湖の女王」という巨大な女神の劇画が描かれています。
今でこそ大絶賛されているアートですが、1923年の完成当初は「女王の顔が近代的過ぎて不気味」「性別が分からない」「伝統的な美しさがない」と、メディアや市民から大批判を浴びたという、今では信じられない黒歴史があります。
💡MEMO
日本の早稲田大学にある「大隈講堂」(1927年完成)の時計塔や建築デザインは、このストックホルム市庁舎から強い影響を受けて作られたといわれていて、日本の建築史とも意外なつながりがあるスポットです。
| 住所 | Hantverkargatan 1, 111 52 Stockholm, スウェーデン |
| 開館 | 8:30~16:30 |
| URL | Stockholms stadshus – Stockholms stad |
アクセス
ストックホルム市庁舎は、ストックホルム中央駅(Stockholm C)から徒歩10分で、とてもアクセスしやすい場所にあります。
| バス | 3番バスに乗車し、「Stadshuset(市庁舎)」バス停で下車。 |
| 地下鉄 |
最寄駅は「T-centralen(徒歩10分)」と「Rådhuset(徒歩8分)」 ・T-centralen駅利用の場合は、下車後「Centralstationen(中央駅)」方面へ向かい「Vasagatan」出口から地上に出て、Vasagatan通りを「Tegelbacken」方面に向かって真っ直ぐ進むと大きな橋が見えてくるので、橋の下をくぐるように右折。 ・Rådhuset駅利用の場合は、下車後「Hantverkargatan/Stadshuset」出口から地上に出て、Hantverkargatan通りを左に進む。 |
ストックホルム市庁舎:ガイドツアーで見られる4つの見どころ
ストックホルム市庁舎の内部は、現在も現役の政治の場(市議会場)や公式レセプションとして使われているため、自由に個人で歩き回って見学することはできません。
中を見るためには、市庁舎が主催している「公式ガイドツアー」への参加が必須となります。
| ツアーの言語 | 主に「英語」または「スウェーデン語」のガイドツアーが毎日定期的に開催されています。(夏季などのハイシーズンには、その他の言語が追加されることもあります。) |
| 所要時間 | 約45分間で、ガイドさんの楽しい解説を聞きながら「青の間」や「黄金の間」などの主要スポットを効率よく巡ります。 |
| チケット購入方法 |
①オンラインでの事前予約(ツアー開始の一週間前から予約可)がおすすめ。※公式サイトから日時を指定して事前予約可 ②当日現地調達 ※現地にチケットオフィスもありますが、ノーベル賞シーズンや夏休みなどの観光ピーク期は、当日のチケットが全て売切れてしまうことも珍しくありません。 |
早速、見どころ4選紹介します。
青の間(Bla hallen)
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ノーベル賞の晩餐会が行われることでも有名な大ホール、その名も「青の間(The Blue Hall)」。
ガイドさんに連れられてワクワクしながら一歩足を踏み入れると…誰もが心の中で公突っ込むはずです。
いや、めちゃくちゃ赤レンガじゃん!!
そう、どこを見渡しても美しい赤レンガの空間が広がっていて、青い要素といえば、天井の隙間からチラッと見えるストックホルムの青空くらいなもの。
一体なぜ、この部屋は「青の間」と呼ばれるのか?
そこには、建築家のちょっとした心変わりと、頑固なこだわりが隠されているのです。
この市庁舎を設計した建築家ラグナル・エストベリは、当初の計画では、この大ホールを「メーラレン湖の美しい水をイメージした、鮮やかな青い部屋」にする予定で、設計図の段階から「青の間」と名付けられていたのです。
実際に部屋の骨組みを作り、職人たちが赤レンガを積み上げていったのですが、ここで事件が起こります。
建築家「あれ?赤レンガ、めちゃくちゃ綺麗じゃない?」
積みあがった赤レンガの壁を見たエストベリは、その職人技の美しさと、窓から差し込む光に照らされた温かみのある赤色に、すっかり心を奪われてしまいました。
その後、当初の予定をあっさり変更、レンガに漆喰を塗って青く塗装するのをやめ、職人が丹精込めて叩き上げた赤レンガの質感をそのまま残すことにしたのです。
壁を赤く残したなら、名前も「赤の間」に変えればよかったはずですが、すでに青の間という名前が関係者の間で定着しすぎていたこと、そしてエストベリ自身もその名前を気に入っていたことから、「見た目は赤いけど、名前は青の間」という、なんともユニークな部屋が誕生したのです。
💡MEMO
ちなみに、よっぽど「青」に未練もあったのか、部屋の片隅の階段上部には、申し訳程度に青いタイルが遣われている場所があるので、ツアーに参加した際には、ぜひその「隠れた青」を探してみてください.
評議会室(Rådssalen)
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評議会室は、ノーベル賞の華やかな舞台である青の間や黄金の間とは異なり、「現役の政治の場」としての重みと、スウェーデンの伝統を色濃く感じられる、とても興味深い部屋です。
この部屋はただの観光施設ではなく、現在も3週間に1度、ストックホルムの市議会(101人の議員が出席)が実際に開催されているリアルな議事堂で、スウェーデンの「民主主義の透明性」を象徴するように、議会が行われている最中でも一般市民や観光客が膨張できるよう、一般用の傍聴席がしっかりと設けられています。
この部屋に入って誰もが真っ先に目を奪われるのが、高くて開放的な天井のデザインで、建築家エストベリは、スウェーデンの祖先である「バイキング」の伝説的な住居(ログハウス)や、バイキング船の船底をひっくり返した形をモチーフにこの天井を設計しました。
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「自分たちの歴史や民族のルーツに対する誇り」が、現代の民主主義を話し合う議事堂の天井にデザインされているというストーリーは、とてもドラマチックです。
船底のような格天井には、美しいフレスコ画が描かれていて、これは100年前の完成当時の夜空や雲、星などを表現したもので、赤や青の鮮やかな色彩が木製の梁と見事に調和しています。
部屋に置かれている議員用の机や椅子、そして可壁を飾る美しいタペストリーやカーテンにいたるまで、全てこの市庁舎のために特別にデザインされたもので、温かみのある北欧デザインの美学が、格式高い議事堂の中にも息づいています。
王子のギャラリー(Prinsens galleri)
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「王子のギャラリー」は、ツアーの中でも特に優雅で、美術的な美しさと建築的な仕掛けが融合した素晴らしい空間で、公式なレセプションや海外からの国賓を迎える宴会場として使われています。
部屋の名前になっている「王子」とは、当時のスウェーデン国王オスカル2世(Oscar II)の五男であるエゥシェン王子(Prins Eugen)のことで、彼は皇族でありながら高名な画家でもありました。
この長いギャラリーの壁に、ストックホルムの美しい街並みや湖の風景をフレスコ画で描いたのが、まさにエゥシェン王子本人で、彼が約2年もの歳月をかけて仕上げた、芸術愛が詰まった部屋となっています。
この部屋の最大の見所は、建築家エストベリとエゥシェン王子による共同の「仕掛け」にあります。
ギャラリーの片側は、大きな窓から本物のメーラレン湖やストックホルムの美しいリアルな景色が広がっていて、その反対側の壁には、窓から見える景色と全く同じ構図、風景の絵がフレスコ画として描かれているのです。
わざわざ窓の反対側に同じ景色を描いた理由には、晩餐会に招待されるゲストへの素晴らしい配慮が画されているのです。
もし壁がただの白い壁だったら、窓に背を向けて座るゲストはストックホルムの美しい景色を楽しめなくなってしまうので、「どちらの席に座ったゲストも、等しくストックホルムの素晴らしい美景を楽しめるように…」という思いやりから、エストベリは窓の反対側に景色を複製して描くように王子に依頼したのです。
黄金の間(Gyllene salen)
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「黄金の間」は、ツアーの最後を飾るに相応しい、豪華絢爛な大広間になっていて、ノーベル賞の晩餐会後に、受賞者や王族、ゲストたちがきらびやかなドレスやタキシード姿でダンスを楽しむ「ノーベル・ボール(舞踏会)」の舞台となります。
この部屋に一歩はいると、壁一面がまばゆい金色に輝いていて圧倒されます。
壁を埋め尽くしているのは、職人たちの手によって成功に埋め込まれた約1,800万枚もの金箔モザイクタイルで、この金箔は2枚のガラスの間に挟まれているため、100年経った今でも色褪せることなく、当時の輝きをそのまま現代に伝えています。
室内にはシャンデリアがありませんが、窓から差し込む光と壁の金色が反射しあうことで、部屋全体が魔法のように明るく照らされています。
ホールの奥に描かれている、一際目を引く巨大なモザイク画が「メーラレン湖の女王」で、彼女はストックホルムの街をぎじんかした女神で、女王を中央に配し、向かって左側にはアメリカなどの「西洋」、右側には「東洋」のエキゾチックな国々や建物が描かれています。
これは、「世界の中央に位置する高潔な街、ストックホルム」を誇らしく表現したものです。
左右の長い壁面には、スウェーデンの1000年に渡る壮大な歴史が描かれていて、中性の騎士や歴史的な偉人だけでなく、北欧の象徴である「バイキング」や、北欧神話に登場するクリーチャー(Creature)なども精巧なモザイクで表現されていて、まるで巨大な歴史絵巻を眺めているような感覚を味わえます。
ストックホルム市庁舎:夏季限定!高さ106mの「市庁舎の塔(タワー)」からの絶景
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ストックホルム市庁舎の象徴である、高さ106mの「市庁舎の塔(タワー:Stadshustornet)」は、観光客に大人気の絶景スポットです。
ただし、このタワーは「期間限定」「完全予約制」など、事前に知っておかないと登れない落とし穴がいくつかあります。
106mの頂上(展望デッキ)からは、360度遮るもののない大panoramaが広がります。
眼下には、ジブリ映画「魔女の宅急便」の舞台のモデルとも言われる旧市街「ガムラ・スタン」のオレンジ色の屋根が並び、その周りを穏やかなメーラレン湖とバルト海、そして美しい行き交う船が彩り、「水の都」と呼ばれるストックホルムの本島の美しさを一番実感できる最高のフォトスポットです。
タワーは年中登れるわけではなく、5~9月頃までの暖かい季節にしかオープンしておらず、秋冬に訪れても中に入る事はできないため、夏のストックホルム旅行なら必ず計画に入れたいプランです。
タワー内への入場は、1回あたり約30~40分程度の間隔で区切られた「完全時間指定の入れ替え制」となっていて、1回に登れる人数が厳しく制限されているため、夏の観光シーズンはチケットがすぐに売切れてしまいます。
当日現地で買おうとしても希望の時間が空いてイない事が多いため、「必ず事前にオンラインで予約しておくこと」が観光を成功させる最大のコツです。
頂上までは合計365段の階段がありますが、実は途中(タワーの中間地点、約半分にあるタワー博物館)まではエレベーターで登ることも可能です。
エレベーターを降りた後は、かつての建築の面影を残すレトロな木造のスロープや、レンガ造りの狭い階段を秘密基地のように登っていき、途中、タワーを支える巨大な木製の梁や、大きな鐘を間近で見ることができ、登るプロセス自体が冒険のようで楽しめます。
| 料金 |
100 SEK |
| 見学時間 | 約40分 |
| 2026年開館時期 |
5~9月 ※9月13日は休館 ※年によって開館時期変動あり |
| 公式サイト |
※一週間前から予約可 |
💡MEMO
塔の見学とガイド付きツアーを組み合わせたい場合は、ツアーの開始時間が塔の見学時間の1時間以上前または後に設定されていることを確認してください。

最後に・・・
建築家ラグナル・エストベリが12年もの歳月をかけて築き上げたストックホルム市庁舎。
ここは単なる美しい歴史的建造物ではなく、今なお街の政治が動く呼吸を持った場所であり、世界最高峰の栄誉を称えるノーベル賞の舞台でもあります。
職人たちの手仕事が光る赤レンガの温もり、1,800万枚の金箔が魅せる幻想的な世界、そして106mの塔の上から見下ろす、青く澄んだメーラレン湖とガムラ・スタンの街並み。
📌ガムラ・スタン:ストックホルム旧市街の迷宮街歩き【スウェーデン】
ここで過ごす時間は、きっとあなたのストックホルム旅行の中で最も印象的な1ページになるはずです。
訪れる際は、ぜひ今回ご紹介した見どころや予約のコツを参考に、その圧倒的な美学を五感で楽しんできてください。



