パシュパティナート:ネパール最大のヒンドゥー教寺院観光で「生」と「死」に触れる【ネパール】

◆ATTENTION◆

2023年6月7日以降、新型コロナウイルス関連の入国規制は解除されており、ネパール入国時の陰性証明書、ワクチン接種証明書の提示は不要、入国規制等も撤廃となっています。

 

ヒンドゥー教と仏教の信仰は、過去も現在もネパール文化のあらゆる側面に見られます。

古代の神聖な寺院や華麗な仏塔、リスペクトされる僧侶など、ネパールでは宗教学習が日常生活の中心となっています。

 

17世紀に建てられたパゴダ様式の寺院であるパシュパティナート寺院(Pashupatinath Temple:पशुपतिनाथ मन्दिर)は、ネパールのヒンドゥー教徒にとって、最も神聖なシヴァ寺院になっています。

 

この記事で紹介するパシュパティナート寺院及びその他周辺の複合施設は、聖なる川であるガンジス川(Ganges:गंगा)の支流であるバグマティ川(Bagmati River:बागमती नदी)の岸辺にあり、毎日多くのヒンドゥー教徒だけでなく、世界中から観光客が訪れる場所で、重要なお祭の際は、ネパールやインド全土のヒンドゥー教徒が集まります。

 

営業時間 AM4:00~PM7:00(季節によって異なる)
観覧時間目安 1~2時間
入園料 ₹1,000(NPR)

 

また、パシュパティナート寺院では、ヒンドゥー教の火葬儀式が毎日行われており、火葬場(アーリヤ・ガート:Aarya ghat)の存在は、全ての命にはいつか終わるが来ることを思い出させます。

 

私たち旅行者にとっては、かなり衝撃の光景を目にすることとなりますが、ヒンドゥー教徒にとって「死」は人生の旅の重要な一部分なのです。

 

 

File:Pashupatinath-Tempel-13a-Bagmati-Bruecken-2013-gje.jpg

 

パシュパティナート:ネパール最大のヒンドゥー教寺院で「生」と「死」に触れる【ネパール】

ネパールで最も神聖なヒンドゥー教寺院の一つであるパシュパティナート寺院は、カトマンズの東郊外、聖なるガンジス川の支流であるバグマティ川の畔に位置しており、ヒンドゥー教の最高神であるシヴァ神( शिव, Śiva)が祀られている寺院です。

 

シヴァ神とは、ブラフマー神(ब्रह्मा Brahmā)・ヴィシュヌ神(विष्णु Viṣṇu)と並んでトリムールティ( त्रिमूर्तिः trimūrti:三神一体)と言われ、「創造と破壊の神様」であり、インドの三大神様の1柱になります。

 

ブラマー神は世界を創造し、ヴィシュヌ神はこれを維持し、シヴァ神はそれを破壊し、またブラマー神があらたな世界を創造するのです。

 

「創造→維持→破壊」が繰り返されるというのがヒンドゥー教の世界創造説で、三神が創造・維持・破壊のそれぞれの役割を担っています。

 

このパシュパティナート区域内には、パシュパティナート本寺院からグヘシュワリ寺院(Guhyeshwari Temple:गुह्येश्वरी मन्दिर)まで約246haにも及ぶ敷地内には、500以上もの寺院がありますが、主要な寺院はヒンドゥー教徒しか入ることができません。

 

寺院内では、靴やベルトなどの革製品、カメラ、写真撮影は固く禁止されていて、各寺院にはそれぞれ独自の儀式があり、どの寺院にも特定の価値観や習慣があります。

 

もしあなたがヒンドゥー教徒で入る機会があるのであれば気を付けてください。

 

また、1979年には世界遺産に登録された「カトマンズ盆地(Kathmandu Valley)」を構成する一つとなっています。

 

 

パシュパティナート寺院(Pashupati Temple:पशुपति मन्दिर)と複合施設などの主要スポット

 

パシュパティナート寺院は宗教、芸術、文化の組み合わせで、宗教的な役割を果たしているだけでなく、芸術家にとっても重要な場所となっています。

 

ここには、ドーム様式、パゴダ様式、シカラ様式など様々なデザインの寺院があり、複合施設の周囲には石や金属、木などで作られた様々な彫刻や彫像があります。

 

パシュパティナート寺院は二段屋根と金色の小塔を持ち、四つのメインドアを備えた立方体の構造で、これはヒンドゥー教建築の傑作とみなされています。

 

バグマティ川の東岸にも数多くの宗教的建造物があり、そのほとんどはシヴァ神に捧げられています。

これらの建物の多くは、小さな平屋建ての建物で、シヴァ神のシンボルであるリンガ(男根)を保存するために造られた神聖な建物なのです。

 

なお、ヒンドゥー教徒以外の方は、バグマティ川を渡ってすぐ東にあるテラスから本堂全体を観覧することができるようになっています。

File:NP-pashu-terrasse.jpg

 

 

サドゥー
 

パシュパティナートでは、ヒンドゥー教におけるヨガの実践者や放浪する修行者であるサドゥーに会うことができます。

 

サドゥーは、瞑想することによって死と再生のサイクルからの解放を獲ようとしています。

 

彼らは体に黄色いペイントが施された非常にユニークな姿でパシュパティナートにいて、旅行者に対してとてもフレンドリーで、快く写真撮影に応じてくれますが、基本的に無料ではなくお金が取られます。

File:Sadu Kathmandu Pashupatinath 2006 Luca Galuzzi.jpg

 

派手な服、奇抜なペイントをしたサドゥーは、とても写真映えします。

 

彼らはパシュパティナート地域内にある洞窟や小さな独房に住んでいて、現代文明に縛られた中で生活する私たちにとって、彼らのフリーダムな生活模様は、ある意味魅力的に映るかもしれません。

 

主要スポット:火葬場(アーリヤ・ガート:Aarya ghat:आर्य घाट)

File:Pashupatinath Cremation.jpg

 

パシュパティナート寺院の側には、アーリア・ガートと呼ばれる階段状になった場所が火葬場として存在しています。

 

毎年、この寺院にはネパールとインドから何百人もの高齢のヒンドゥー教信者が集まります。

 

バグマティ川の西側は、かつて聖なる神殿であった複合施設があり、現在その場所は身寄りのない高齢者の終の棲家として機能しています。

 

パシュパティナート寺院で最期を迎えた人は、生前どのような悪行を行っていようとも、来世は人間として生まれ変わると信じられていて、人生の最後の居場所を求めこの場所に訪れ、死を迎え、川の畔で火葬された後、聖なるガンジス川の支流であるバグマティ川の水と共に今世の最後の旅をするとされています。

 

バクマティ川に沿って、アーリヤ・ガートがあり、そこで毎日火葬が行われているので、パシュパティナートに訪れれば、必ず一度は火葬の光景を目にすることになるでしょう。

 

火葬式の流れは、棺もしくは担架に乗せられた遺体が男性たちによって寺院まで運ばれ、その後、故人は頭だけを残して純白の布で覆われます。

 

男性たちは、担架に乗せられた遺体を担ぎ上げ、木製の火葬場の周囲を時計回りに3回歩き、火葬台に遺体を置きます。

 

その後、家族の長である人が故人の頭の近くで焚き付けに火をつけ、遺体が完全に火葬されるまで、家族は何時間も待ち、その後バグマティ川に散骨します。

 

本来人の目には触れない荼毘が主流である私たちにとって、かなり衝撃の光景ですが、この場所には、独特の平和を感じることすらあるとされ、ヒンドゥー教では「死」を「終わり」ではなく「再生」とみなす価値観が関係しているといわれています。

 

また、遺灰を流すこのバグマティ川の下流では、地元の女性たちが洗濯している姿を目にするかもしれません。

File:Pashupatinath-oberer Zugang-08-Bagmati-Waescherinnen-2013-gje.jpg

 

このバグマティ川の水には、火葬されたシヴァ信者の灰によって、動物性脂肪が含まれていて、リネンの汚れが簡単に落ちるそうです。

 

ちょっと信じがたい光景ですね!

 

主要スポット: ラジュラジェシュワリ寺院(Rajrajeshwari Temple:राजराजेश्वरी मन्दिर)

File:Rajrajeshwori Durga Temple Pashupati Kathmandu Nepal Rajesh Dhungana.jpg

 

ラジュラジェシュワリ寺院はマッラ朝時代の1464年に建てられた寺院で、ナワドゥルガー寺院(Nawadurga Temple)と現在は高齢者のための社会福祉センターとなっているパンチャ・デワル寺院(Pancha Dewal temple)とともに、パシュパティナート寺院の南側にあります。

 

この寺院で祀られているドゥルガ・ラジャ・ラジェスワリ(Durga Raja Rajeswari)は、ヒンドゥー教の女神であり、天女に仕えられシヴァ神に力を与えていると信じられており、満月の日には特別な礼拝が行われます。

 

主要スポット:ラーム寺院(Ram Mandir Temple:राम मन्दिर)

Berkas:Vishnu Temple Ram Mandir Pasupatinath Area Pashupati Kathmandu Nepal Rajesh Dhungana (4).jpg

 

ラーム寺院には、シータ(Sita)、ラーマ(Rama)、ハヌマーン(Hanuman)の神様が祀られています。

 

主要スポット:エッカイダス・ルドゥラ(Pandra Shivalaya:पन्ध्र शिवालय)

File:NP-pashu-terrasse.jpg

 

バグマティ川の左岸には、エッカイダス・ルドゥラ(Pandra Shivalaya)という11の白い石塔が並んでいて、1859年から1869年にかけて亡くなった人を偲んで祀るために建てられたものです。

 

ここにはシヴァ神の象徴であるリンガ(男根)が祀られています。

 

主要スポット:ゴラクナート寺院(Gorakhnath Temple:गोरखनाथ मन्दिर)

File:Gorakhnath or Goraksanath Temple Mrigasthali Pasupati Kathmandu Nepal Rajesh Dhungana (4).jpg

 

ゴラクナート寺院は、白い塔とオレンジと白でできたトウモロコシの穂のような尖塔で作られた寺院です。

 

この寺院は、4世紀のネパール王ジャヤスティティ・マッラ王(Jayasthiti Malla:जयस्थिति मल्ल)によって建てられ、ヒンドゥー教の聖人でハタ・ヨーガの創始者であるヨギ「ゴラクナート(Gorakhnath:)」を祀っています。

 

この寺院の側にはシヴァ神の武器である三叉槍とシヴァ神の乗り物とされる牡牛のナンディ(Nandi)があり、写真スポットとしても人気です。

 

この場所は、自然に囲まれいて、とても静かな場所として知られています。

 

ゴラクナート寺院を過ぎて、森の中を下ると、ムルガスタリの森(Mrigasthali)を通るのですが、ここでは、かつてシヴァ神が鹿の姿で遊んでいたといわれている場所です。

 

 

ムルガスタリの森(Mrigasthali)
 

バグマティ川の対岸には、シカやサルなどの動物が生息する小さな「ムルガスタリの森(Mrigasthali)」があり、ヒンドゥー教の叙事詩であるスリ・スワスタニ・ブラタ・カタ(Shree Swasthani Brata Katha:श्री स्वस्थानी व्रत कथा)に従ってシヴァ神が動物の姿を崇めるためにシカが飼育されているとされています。

 

サルが食べ物や物をひったくることがあるので、気を付けてください。

 

主要スポット:グヘシュワリ寺院(Guhyeshwari Shaktipeeth Temple:श्री गुह्येश्वरी शक्तिपीठ मन्दिर काठमांडू)

File:Pashupatinath-oberer Zugang-06-Bagmati-2013-gje.jpg

 

グヘシュワリ寺院は、ネパールで有名なShakti Peethas(ヒンドゥー教の女神中心の宗派であるシャクティー派の重要な巡礼地)の一つで、バグマティ川の畔にあり、パシュパティナート寺院同様、ヒンドゥー教徒以外の人は中に入ることができません。

 

ヒンドゥー教の叙事詩であるスリ・スワスタニ・ブラタ・カタには、この寺院の起源が記されています。

 

シヴァの最愛の妻であるサティ・デヴィ(Devi Sati:सती)が焼身自殺をし、悲しみに打ちひしがれたシヴァは、サティの亡骸を担いで当てもなくさまよっていた際に、サティの遺体は腐敗を始め、体の一部が様々な場所に落ち、その場所にShakti Peethasが造られたそうです。

 

遺体の一部グヒヤ(肛門部分)が落ちたのはこの場所であったため、神聖な女性をである女神を指すイシュワリ(Ishwari)と合わせて、この場所はグヘシュワリとして知られるようになりました。 

 

主要スポット:キラテシュワール寺院(Kirateshwar Mahadev:किरातेश्वर महादेव)

ファイル:キラテシュウォル マハデブ寺院 グヘシュウォリ パシュパティナート カトマンズ ネパール ラジェシュ ドゥンガナ (7).jpg

 

キラテシュワール寺院は、カトマンズにあるシヴァ神を祀る最古の寺院の一つで、1200年以上の歴史があると考えられていて、ここにあるシヴァ・リンガは最古のリンガです。

 

この寺院は、紀元前8世紀にネパール周辺を統治していたキラット王朝(Kirata Kingdom:किराँत काल)の国王ヤランベル(Yalambar:यलम्बर)によって建てられた、ネパール様式の寺院です。

寺院には、ヒンドゥー教の神や女神の複雑な彫刻や像が飾られていて、これはネパールにある寺院によく見られる特徴です。

 

パシュパティナート寺院:毎日の儀式

パシュパティナートはネパールの生きた巡礼地で、寺院周辺では毎日決まった時間にそれぞれの儀式が行われています。

 

MEMO

拝観時間はAM4:00~PM7:00(季節によって異なる)となっていますが、正午からPM5:00までは閉鎖されていて、寺院を訪れるのに最も最適な時間帯は早朝か夕方になっています。

 

AM4:00 西のゲートが訪問者のために開きます
AM8:30 ヒンドゥー教寺院の僧侶であるプジャリ(Pujari)が到着し、沐浴と掃除が始まります
AM9:30 神に朝食を捧げます
AM10:00 礼拝の儀式であるプージャ(pūjā)がPM1:45まで行われます
PM1:50 神に昼食を捧げます
PM2:00 朝の祈りが終わります
PM5:15 パシュパティナート寺院で夕方のアーラティ(Aarati:火の儀式)が始まります
PM6:00 バグマティ川の岸辺でPashupati Bagmati Aaratiが行われます
PM7:00 閉門

 

パシュパティナート寺院:アクセス方法

パシュパティナート寺院は、カトマンズの東側に位置し、ダルバール広場(Durbar Square:काठमाडौं दरबार क्षेत्र)から車で15分ほどの場所にあります。

 

ボダナート仏塔(Buddha Stupa:खास्ति चैत्य)とトリブバン国際空港の近くにあり、空港からは徒歩15分ほどで行ける距離にあります。

 

入国後もしくは出国前に訪れるといいかも…

 

 

カトマンズの中心部から訪れる場合、タクシーはどこでも簡単に拾うことができますが、乗車料金は交渉制になっています。

 

また、パシュパティナート寺院まで行くバスが、ラトナ公園(Ratna park:रत्न पार्क)のバスターミナル(Old Buspark=地元民の間ではプラノ・バスパーク:Purano Bus Park)から定期的に運行していて、料金は15NPRです。

 

パシュパティナートに訪れる場合のバス停は、ゴウサラ地区(Gaushala)にあるバス停で、このバス停からパシュパティナート寺院までは歩いて5分ほどです。

 

なお、ネパールには指定されたバス停が数カ所しかなく、ほとんどの場合道路脇に立ってバスが通った際に、バスの運転手に行きたい場所を伝えれば、自分の行きたい目的地を通るかどうかを教えてくれます。

 

ネパール語オンリーなので、難易度高めです。

 

最後に・・・

2024年の年明け早々に、ネパール旅行を計画しています。

 

 

実は、コロナ以降海外へ行きたい願望がなくなり、このネパール旅行がコロナ以降4年ぶり?の海外なのですが、特に新しい刺激も求めず、だからといってネガティブな状態な訳でもなく、ただ今の日本だけでの生活に満足している自分もいたりしていたのです。

 

久々の海外ということで、初心者のように色々な情報収集をしているので、その収集した情報を投稿していく予定です。

 

現地に行った際に体験談を元に情報のアップデートもしたいと思います。