死ぬまでに絶対行きたい場所ってありますか?
旅人であれば、1つと言わずいくつも行きたい場所のリストがありますよね。
もし、まだインドネシアはジャワ島にあるユネスコ世界遺産に登録されている「ボロブドゥール 寺院遺跡群(Kompleks Candi Borobudur)」に行った事がないという方は、早速訪れる準備を始めてください。
この記事では、アメリカCNNで「地球がどれほど素晴らしいかを思い出す27のスポット」として選ばれたボロブドゥール遺跡の全てを経験談をまじえながら紹介したいと思います。
ボロブドゥール遺跡:Borobudur
ボロブドゥール遺跡は、インドネシアのジャワ島にある壮大な仏教遺跡で世界的な石造遺跡です。
遠い昔、インド洋を渡り伝来した仏教は、遥か南の国インドネシアで母国インドを追い抜くほどの高度な芸術文化を築きました。
インドネシアといえば、現在はイスラム教国家のイメージだと思うのですが、13世紀までは他の東南アジア同様仏教国で、ヒンドゥー教や仏教などインドの影響が強かったそうです。
ボロブドゥール遺跡は、その偉大な象徴であり世界文化遺産にも登録されている世界最大級の仏教寺院なのです。
ヤシの樹海が広がるケドゥ盆地(Dataran Kedu)にあり、非常に細かい点まで繊細に整った壁画が刻まれた回廊も、仏教美術最高の質と量を持っています。
ジャワ島のジョグジャヤルタ市街地から車で1時間半ほどの場所にあり、「世界三大仏教遺跡」に指定されています。
◆ アンコール・ワット:អង្គរវត្ត(カンボジア)【世界遺産】
◆ ボロブドゥール 寺院遺跡群:Kompleks Candi Borobudur(インドネシア)【世界遺産】
◆ バガン:Bagan(ミャンマー)【世界遺産】
10歳以上 | 3~10歳 | 学生 | |
---|---|---|---|
ボロブドゥール1日券 | US$25 | US$15 | US$15 |
ボロブドゥール&プランバナン セット | US$45 | US$27 | |
ボロブドゥール&ラトゥボコ セット | US$45 | US$27 |
入場料の変動がかなりあるので、都度確認するようにしましょう!
ボロブドゥール遺跡:歴史
ボロブドゥール遺跡の歴史については未だ解明されていないことも多く、出土した石碑の碑文から8~9世紀前後に50年ほどの歳月をかけてジャワ島中部に建てられた王朝であるシャイレーンドラ朝(Wangsa Sailendra)によって建造されたと考えられています。
この王朝名「シャイレーンドラ」はサンスクリット語で「山からの王」「山の王家」という意味を持つそうです。
今でこそ世界で素晴らしい絶景などと取り上げられるほど有名になっていますが、実は人々から1000年以上にわたり完全に忘れ去られていた過去があります。
その理由には2つの説があり、
✔ 近くにあるムラピ山の大噴火の火山灰によって埋もれてしまった説
✔ イスラム教徒による破壊を恐れて人々が埋めた説
どちらも「説」であり、確実な情報が未だないようなのですが、10世紀にムラピ山が噴火したとの情報があり、火山灰に埋もれたのかな…とも思えますが、ある調査の結果では、ボロブドゥール遺跡の土台に使われている土と発見時に遺跡を覆いかぶさっていた土質が同じと言うことも判明しており、誰かが故意に隠したのかな…とも思えるわけなのです。
やはり「真実は不明」が一番正しい答えなのかもしれません。
この忘れ去られた遺跡を1814年イギリス人のトーマス・ラッフルズ氏(Sir Thomas Stamford Bingley Raffles)によって偶然発見されることになります。
それから発掘調査が行われましたが、崩壊の危険性があるとして途中で再び埋められ、一時は崩壊寸前までになっていたそうです。
その後、また長い年月を経てユネスコ主導の下、大規模な調査と修復作業が開始され、1982年に修復工事が完了となりました。
そして、日本が技術協力を行い遺跡周りの公園などが整備され、史跡公園も完成、1991年にユネスコ世界文化遺産に登録されたのです。
建造後1000年以上も密林の中で隠れていた仏教遺跡の歴史的価値は明らかなのですが、名前の由来や建設時期、工期など詳細は未だベールに包まれ、多くの謎が残っているそうです。
ボロブドゥール遺跡:全景
ボロブドゥール遺跡の面積は1.5万㎡で9層のピラミッド上になっていて、元の高さは42mあったのですが、破損などで現在は34.5mとなっています。
最下部の基壇は、正方形の一辺が123mにも及び、その上に基壇と似た形状の下部方形の6層と上部円形の3層からなっていて、最上部には中心仏塔を載せ、階段ピラミッド状の構造になっています。
寺院としては非常に珍しく遺跡内部には空間がありません。
この構造は、「外周の基壇」「回廊がある方壇」「最上層の円壇」の三層構造となっており、仏教界における三界*1を表現していると考えられています。
つまり下から上へ上っていくにつれ、欲望ばかりの世界から物質世界、そして解脱し精神作用にのみ住む世界となっているというわけです。
第一回廊は仏陀の生涯が彫られていて、レリーフの保存状態もよく回廊レリーフのハイライトともいわれているので、時間をかけて見学することをオススメします。
俗界から悟りへと向かう物語を見るためには、第一回廊から時計回りに見学するようにします。
回廊の壁には、1460面にわたって仏教説話などの装飾や、お釈迦様をはじめ王族や兵士など1万人以上の登場人物が彫られていて、回廊を1つ上がるたびに巡礼者の過去の災いが飲み込まれるといわれています。
ジーっと目を凝らして見ると、不思議な気持ちになります。
最上層の円壇には、釣り鐘形のストゥーパと呼ばれる仏塔が72基規則的に並んでいて、小窓から中に安置されている仏像を見ることができます。
また、このストゥーパの窓の形状がひし形と正方形に分かれているのですが、
✔ ひし形=不安定な俗界の人の心
✔ 正方形=安定した賢者の心
を表していて、最上部の窓のないストゥーパは「無の世界」になっているそうです。
ここで少し脱線して、遺跡系あるあるの小話…
ストゥーパの中にいる仏像を触ると願い事が叶うそう。
男性は仏像の右手小指、女性は仏像の右足小指だそうです。
願い事が叶う小話は知っていたけど、触る箇所までの情報を持たずして訪れた私は、仏像をベタベタと触りはしたものの、右足小指なんてそんな繊細な部分まで触れた記憶はありません…
現在は遺跡保護の観点から接触不可という情報もあるので、遺跡にいる案内している方などに一度確認を取って触れるようにしましょう。
View this post on Instagram
ボロブドゥール遺跡:行き方
日本からボロブドゥール遺跡のあるインドネシアのジョグジャカルタまでの直行便はなく、インドネシアの首都ジャカルタやマレーシアのクアラルンプールなどを経由してジョグジャカルタ入りとなります。
ジョグジャカルタからボロブドゥールまでは、空港からと市街地からでいくつかの方法があるので、ご自身の旅の行程で都合の良い方法を選択してください。
ボロブドゥール遺跡周辺に宿泊する場合は送迎のあるホテルもあるので、一度ホテルに確認してみましょう。
《アジスチプト空港から》 | |
---|---|
タクシー | Rp300,000(約¥2,500) |
空港バス「DAMRI」&シャトルバス | Rp75,000(約¥600) |
《ジョグジャカルタ市街地から》 | |
Uber | |
路線バス「トランスジョグジャ」&シャトルバス | Rp35,000(約¥250) |
ボロブドゥール遺跡アクセス方法:アジスチプト空港から
アジスチプト空港から向かう場合は、タクシーか空港バスとシャトルバスを乗り継いで向かう方法があります。
タクシーに乗っても、日本の感覚であれば格安なのですが、インドネシアの物価を考えると少し割高感があります。
私は空港バスとシャトルバスを乗り継いで行ったのですが、それほど難しいものではありませんでした。
アジスチプト空港到着ロビーにあるタクシーカウンターで先払いする空港公認の定額制タクシー「ラジャワリタクシー(Rajawali)」があります。
空港からボロブドゥール遺跡までRp300,000(約¥2,500)で行けます。
空港からボロブドゥール遺跡までは、約50kmほどあるので、距離的にはかなり安いかと思います。
Uberだと、ラジャワリタクシーよりも2~3割安で行けるという情報もあるので、Uberもありだと思います。
Uber
Uber Technologies, Inc.無料posted withアプリーチ
アジスチプト空港のDAMRIバスターミナルは、下記地図の場所でチケット売り場もバスターミナルにあります。
空港から「マゲラン(Magelang)」行きのバスに乗り、途中「パルバパンTジャンクション(Palbapang T)」という交差点でボロブドゥール行きのシャトルバスに乗換があります。
7:00~21:00まで1時間に1本の運行です。
このバスですが、運行停止になったり途中乗換だったり直行だったり、日によって色々変更があるようなので注意が必要です。
ちなみに私は乗換有でした。
ボロブドゥール遺跡アクセス方法:ジョグジャカルタ市街地
ジョグジャカルタの市街地は、空港から10kmほど離れているのですが、タクシーやUberを利用する場合は空港から行くより多少安くなるかもしれません。
ただ、白タクに乗るのは危険なので、Uber若しくはGrabなどタクシー配車サービスを利用してタクシー手配することをオススメします。
ジョグジャカルタ市街地から「2A」若しくは「2B」番バスで「ジョンボールバスターミナル(Terminal Jombor)」に向かいます。
マリオボロ通り(Malioboro)に路線バスの停留所がたくさんあるのですぐに見つかります。
トランスジョグジャのバス料金は一律Rp3,600(約¥30)になっていて、ジョンボール・バスターミナルから乗るシャトルバスは外国人料金Rp30,000(約¥250)になっています。
バスのチケットなどはなく、バス車内で運行中に集金係の人がバス代の回収をします。
ジョンボール・バスターミナルに到着したら、ボロブドゥール行きのバスがありますので乗換になります。(予約不要)
ここから1時間ほどでボロブドゥールに到着です。
どこかのターミナルのような場所で10分ほど停車したのですが、停車中に突然ストリートミュージシャン?といっても本当に子どものお遊び程度ですが、ギターを持った人が乗り込んできて演奏をはじめ、チップを回収していく。なんてことがありました。
小銭なり小さいお金を用意しておいてもいいかもしれません。
ボロブドゥール遺跡:周辺観光
世界遺産に登録されていているボロブドゥール寺院遺跡群に含まれた他の2つ(ムンドゥット寺院、パオン寺院)の寺院も同時に訪れてみてはいかがでしょうか。
ムンドゥット寺院もパオン寺院も、それほど大きな寺院ではないのですが、一見の価値はあります。
ボロブドゥール遺跡周辺観光:ムンドゥット寺院(Candi Mendut)
ボロブドゥール遺跡から東に3kmほどの場所にあり、日本の仏教関係者が「世界で最も美しい仏像の1つ」と称した仏像が安置されている寺院です。
9世紀初頭に建てられたムンドゥット寺院(Candi Mendut)は、ボロブドゥール遺跡とパオン寺院の中でも最も古い寺院です。
824年のカラントゥンガー碑文(Prasasti Kayumwungan)には、シャイレーンドラ王朝のインドラ王が「竹林」を意味するヴェヌヴァナ(Wenuwana)という神聖な建物を建てたと記されていて、オランダの考古学者ドゥ・カスパリス(Johannes Gijsbertus de Casparis)はこれをムンドゥット寺院であるとしました。
ムンドゥット寺院は、1836年に茂みで覆われた遺跡として発見され、1897年から寺院の修復が始まり1925年に修復作業が終了となりました。
ムンドゥット寺院の隣には礼拝所があり、この礼拝所は以前はカトリックの修道院でしたが、仏教財団によって購入され、そこに寺院が建てられました。
この寺院には礼拝所や庭園、そしていくつもかの仏像が安置されています。
いくつかの仏像は日本から寄贈されたものになっています。
拝観時間 | 毎日6:00~17:00 |
---|---|
拝観料 | IDR3,500 |
ボロブドゥール遺跡周辺観光:パオン寺院(Candi Pawon)
ボロブドゥール遺跡とムンドゥット寺院の間に位置するパオン寺院は、ボロブドゥール遺跡とムンドゥット寺院との結びつきがあるとされていて、この寺院もまたシャイレーンドラ王朝時代に建てられていて、この寺院の彫刻などからボロブドゥールより少し前に建てられたとされています。
拝観時間 | 毎日6:00~17:00 |
---|---|
拝観料 | IDR3,500 |
3つの寺院は一直線上にあり、これらの寺院を結ぶ意味があったことを示唆していて、かつてこの一直線上に参道があったなどの説があるのですが、どれも定説ばかりで痕跡などは見つかってないそうです。
距離的に3kmと歩けない距離ではないのですが、時間に制約のある方はホテルで自転車を借りて行くことをオススメします。
私はマノハラホテルで自転車を借りて周りました。
最後に…
インドネシアは、バリ島を除いてイスラム教徒が多く、肌の露出がタブー視される傾向にあります。
そのため、年間を通してとても暑いのですが、観光時の服装などは気をつけてください。
この記事を書きながら思ったのですが、行く前にブログを書けばもっと詳しい情報を頭に入れた状態で訪れることができると思いました。
ブログを書くために調べていると、そうだったんだぁ…なんて事が多く、何だか勿体無い気分&もう一度行きたいと思うようになります。
ボロブドゥール寺院及び周辺観光について記事をまとめましたが、CNNの「地球がどれほど素晴らしいかを思い出す27のスポット」に選ばれたことに異議なし!という場所になっています。
そう!地球は素晴らしいのです!!
ボロブドゥールに訪れるのであれば、必ずジョグジャカルタ経由で向かうと思うのですが、ジョグジャカルタ市内にはボロブドゥール遺跡ともう1つ「プランバナン寺院群」という世界遺産に登録されている寺院群が存在します。
こちらもかなり見ごたえのある世界遺産の1つなので、せっかくジョグジャカルタに訪れたのであれば立ち寄ることをオススメします。
また、ジョグジャカルタ市街地も王宮やショッピングストリートなど、見所満載になっているので、ボロブドゥールだけでなくジョグジャカルタをゆっくり観光してみてください。
素敵な旅になることを願っています。
*1:煩悩で生きる「欲界」・悟りを求める「色界」・物質世界から解脱した「無色界」